2010年3月27日土曜日

ケーススタディー(スティールパートナーズ)

先週のケーススタディー。
今行われているスティールパートナーズとサッポロホールディングスのプロシキファイトで劣勢のスティールパートナーズが勝利するために以下に株主から委任状を獲得するか、その為にどういう手紙を送るのか、というリアルタイムの内容だった。
400文字で表現するというのはとても難しい。。。

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【課題】
あなたがスチールパートナーズのウオレン・リヒテンシュタイン会長とすれば、サッポロホールディングでのプロキシーファイトで勝利するためにどうするか?またあなたなら株主にどのような手紙を送るか、400字くらいで書きだして見よ。

【回答】
サッポロを救うため、今、私たち株主が行動しましょう!
スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド

       サッポロホールディングスの株主の皆様

現在の不況下では企業の突然の破たん、株価の大幅な下落などが日常茶飯事に起きております。株主の皆様におかれましても、昨今のマスコミ報道を通じて自分の所有する株はどうなのか、と不安になることもあられるかと存じます。

さて、サッポロはいかがでしょうか。
営業利益は3期連続向上しているものの、本業の酒類事業(ビール等)ではアサヒ、キリンとの差は大きく広がり業績は年々低下の一途を辿っており、現在の状況では今後の不安は拭いきれません。
我々は株主の皆様同様サッポロのポテンシャルを信じているため、ご提案している新経営陣に任せれば業績の本業のビール事業の業績向上から安定した株価を維持・向上ができるものと確信しております。

皆皆さまにおかれましても、昨今の不況を乗り越えるためには背に腹はかえられないのではないでしょうか。
今後のサッポロの末永い発展のために、生まれ変わる新経営陣に未来を託しましょう。
(391文字)

【理由】
(サッポロについて)
サッポロホールディングスは酒類(ビールなど)、飲料、外食、不動産の4事業を行い、売上の80%以上が酒類となっている。しかしながら営業利益は酒類と不動産事業が共に70億~80億を生み出しているおり、本業でない不動産に頼っている形になるため企業としての競争力は将来的には問題があると考えられる。
よって本業の酒類の立て直しが必要である。
現在は市場がシュリンク(年率-1.5%)する中、アサヒ、キリンはややプラスに転じており、サッポロは-7.2%と一人負けの状態。

(スティールパートナーズ)
サッポロの筆頭株主であり、様々な企業の株を買い「物申す株主」として事業を行っている。しかしながら、一般人からは顔が見えないため「ハゲタカ」のイメージも強い。

(今回の取り巻く環境)
スティールパートナーズが現経営陣の退任、及び新経営陣の提案を行い、プロシキファイトを仕掛けた。しかしながら、個人株主が16.7%ほどおり、これらの浮遊票を獲得できるかが焦点となっている。(法人はロジカルに検討しスティール側に付くと考えている)

(よってどのような手紙が有効か)
現在の提案書類は複数枚にわたり、もっともなことを言っているが一般株主から見ると自分自身の問題のようには感じられない。またハゲタカが金儲けによってサッポロに何かをしているといった印象を与えている恐れもある。
よって、自分たちも皆さまを同じ株主であることを示し、また今回の委任状の票が自分自身に直結することを暗に訴える必要があると考えられる。

(株主の潜在的ニーズ)
・昨今の不況やJALの破たんなどを目の前で見ているため、自分の持っている株が大暴落することだけは避けたい。
・民主党の事業仕分けから始まり、自分の仕事や家計については背に腹はかえられない状況に心理的に追い込まれている。

よって、これらを暗に示す形で、委任状による結果が自分自身に直接跳ね返ることを訴えることが有効であると考える。

【参考】
■スティールパートナーズ(HPより)
http://spjsf.weblogs.jp/jp/
http://spjsf.weblogs.jp/LettertoShareholders/SPJLetter2SapporoShareholdersJPN.pdf

■サッポロHD:スティール提案「厳しい状況に」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100319ddm008020072000c.html
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【大前解説】
基本路線は自分の回答の方向性と変わらなかったが、以下の点が大きく変わっていた。
●スティールの有能性を示す為に以下を用いる
・アデランス(以前スティールがプロキシーファイトで勝利した)の株価の変動
 →前経営体制よりも上昇し安定した株価を維持している
・ブルドッグ(以前スティールがプロキシーファイトで敗北した)の株価の変動
 →株価はさらに下がり長期低迷中
●この事実を示して、我々に任せてくれれば企業価値(株価など)を上げられる裏付けに使う。

【反省・まとめ】
どうやってロジカルかつ心に響く内容にするか、という点に集中していたため自分の回答にはそれなりの自信があったが「株価を~向上ができるものと確信しています」と言っているだけで何の裏付けも示していない点は大いに反省だった。特にブルドッグはスティールにとっては失敗と言える案件であるが、使い方によっては自分たちの有能性を示すものに変えられるという視点は勉強になった。

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