2010年1月22日金曜日

生保の儲け方

先週のケーススタディーでやったライフネットを通じて今まで理解していなかった生保の儲け方について書いておこうと思う。

生保のイメージは良く分からない、恐らく騙されているだろう、という印象を持っていた。ライフネットはそこの隠されていた原価を明確に示したことで保険業界に風穴を開けた。今回はさらにその中身について学んだ。

まず、生命保険の保険料は通常の対面販売であろうがネットであろうが「保険料支払いの原資」に当たる「純保険料」は確率(○○歳の方が○○年後に亡くなる率とか)などで計算しているのでほぼ一定。異なるのは販売経費や利益に当たる「付加保険料」。実際にこの「付加保険料」は対面販売とネットで5倍の差がある。

■保険料の仕組み
・「純保険料」+「付加保険料」
*純保険料 :保険料支払いの原資
*付加保険料:販売経費、利益(営業員の報酬や代理店の手数料とか)

■定期保険、30歳、死亡3000万円、期間10年、月払い
         純保険+付加保険料=保険料
・SBIアクサ  :2,669円+ 781円  =3,450円(ネット)
・ライフネット :2,669円+ 815円  =3,484円(ネット)
・損保ジャパン:2,669円+2,788円 =5,457円(通販)
・日本生命  :2,669円+3,991円 =6,660円(対面)
・明治安田  :2,669円+4,321円  =6,990円(対面)

と明らかに価格の差がある。

さらにここから生保の利益の出し方に驚くが、3つの嘘によって利益を出しているようだ。
①費差益
 →事業費の予定額と実際の額の差。これは小さいから利益に占める割合は小さい。
②利差益
 →運用益の予定と実際の差。最近は株価低迷でマイナスになっている。
③死差益(危険差益)
 →保険の支払い予定額と実際の差。利益の源泉

これの内もっとも悪質極まりないのが③の死差益である様子。
保険料は上でも書いたけれど、確率(○○歳の方が○○歳で亡くなる率とか)によって決められ、この確率のライフテーブルに則って保険料が決まっている。しかしながら、生保が使用しているライフテーブルはもう何10年も前のものを使っていて、実際は平均寿命はどんどん長くなっているから辻褄が合わない。要するに何10年も前のライフテーブルを用いることによって亡くなる確率は高まる(平均寿命は今より短い)ことになるから保険料も高く出来る。更に保険料を受ける(顧客が支払う)期間は延長し、保険料の支払い(顧客に払う)は後回しに出来る。
この差を利用して利益を出しているようだ。
通りで保険のおばちゃんは儲かっているし、トップセールスの人は何千万~億円まで稼いでいるひともいると言うし。

実際はこう。
■生保の三利源(基礎利益)の内訳(2009年3月期、億円)

      費差益 死差益 利差益
・日本生命:1,100 +4,700 ‐400
・第一生命: 435 +3,822 ‐649
・明治安田: 719 +3,262 ‐688

これは付加保険料の差よりも、特にライフテーブルを何10年も前のものを使用しているという点は正直頂けない。なぜこんなことがまかり通っていて、金融監督当局が許しているのか不明だが、理由はかなり簡単。
生保が国債を買ってくれるから。
ご存知日本は借金大国で支払える見込みが全くないのに国債を発行して、将来から借金をして国家予算に回している。なので、国債が売れなくなると国が運営出来なくなる。個人国債の売りが減っていても法人国債が売れているのは、銀行と生保などに国債を買うように圧力が掛かっているためだそうだ。
そんな理由で、ライフテーブルは何10年前のものでも良いみたい。。。

ライフネットはこれを全てやめて自信を持って売る!ということを信条にされているのでかなり好感が持てたが、もしかしたらライフテーブルは他社と同じものを利用しているのかもしれない。これは裏が取れなかった・・・。そうだとすると業界全体の体質なのかもしれないかな。

個人的には今まで知りたいけれど良く分からなかった生保の儲け方が理解出来たので、対策が打てるようになった。そしてライフネットはとても良い会社だと思う。あとは本当にメジャーになるにはどうするのか、IPOするのか、とかじっくり見ていきたい。

0 件のコメント: