2010年4月12日月曜日

ケーススタディー(H2O)

先々週のケーススタディー。
再び百貨店でした。これもまた前回のルネサスエレクトロニクス同様旬の話題でした。

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【課題】
あなたがH2Oの椙岡俊一会長とすれば、高島屋との経営統合を断念したいま、どのような将来戦略を打ち出すか?

【回答】
顧客にトータルの価値を提供できるように、阪神阪急東宝グループをHDカンパニー制にしてシナジー効果及びコスト削減が出来るように体制を変える。
また橋下府知事に話を持っていき、大阪(関西)の発展とともにH2Oリテイリングも成長できるように協力体制を組む。

【理由】
百貨店事業は近年軒並み低調であり、一向に明るい兆しは見えない。
一方、衣類ではユニクロやアウトレットモールなどの低価格商品や同様に大型スーパーなどの低価格商品が好調であり、顧客は日用品(衣類、食品など)に関しては低価格もしくは購買を控えるといった傾向にある。

一方、ファッション業界では東京ガールズコレクション、エンターテイメントでは東京ディズニーランド、携帯・PCではアップルなどターゲットが明確なコンセプトがあり、かつトータルで価値を提供できていると考えられるビジネスには顧客は多くのお金を払っている。

H2Oリテイリングに目を向けると、当社は阪神阪急東宝グループのグループ会社であり、百貨店の中ではファッション性が高いと言う特徴がある。

 (阪神阪急東宝グループ)
  ・H2Oリテイリング→百貨店 (小売)
  ・阪神阪急電鉄  →電鉄  (インフラ)
  ・東宝グループ  →映画など(エンターテイメント)

そしてこれらは全て大阪~神戸に集合している。
その為これらを使えば小売、インフラ、エンターテイメントのトータルで価値を提供できると考えられる。

その為には、当グループを再編しHDカンパニー制にしてそれぞれでシナジー効果を生み出しやすい組織体制に変え、収益面でも規模の経済等を生かし間接コストや固定費を削減できる(検証が必要)と考えられる。よってこれらのことを他のグループ会社と話し合い、H2O主導で出来るように進めていく。
また、大阪の橋下府知事に話を持っていき、「大阪(関西)を元気にする」という橋下府知事の願いをかなえるべく協力をお願いする。こうすることで大阪(関西)の発展が阪神阪急東宝グループの向上につながり、H2リテイリングの収益向上に繋がると考える。
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【大前解説】
*大前案は1、2と二つあり、上記分析に大きな差がなかったので案2はほぼ同様だった。
 しかしながら、一部情報が漏れていたのでおススメとされた案1の発想はなかった。

(案1)
●電鉄系デパート(近鉄百貨店、東武百貨店、小田急百貨店など10社近く)をまとめて「The terminal group」として、シナジーを起こす。

・電鉄系デパートは大手百貨店(三越伊勢丹、Jフロントとか)と比べると規模が小さいが纏まると規模は第1位となる。
・電鉄系デパートの中でH2O(阪急、阪神)は大成功の百貨店。
・電鉄系デパートは、各々路線で独立しているので顧客の取り合いにはならず、それぞれが路線と共に発展していけば良い。
・しかしながら、単独ではコスト等が掛かり収益がないので、まとめて間接コスト等を減らすことが出来る。
・H2Oのノウハウを生かせるのでH2Oとしての立場は優位である。
・よって、新たな方向性として上記の案1を行う。

(案2)
●流通、不動産、ホテル、エンタメをまとめてシナジーを起こす。
・HDカンパニー制にはしないようだけど、方向性は自分の回答とほぼ同じ

【反省・まとめ】
広い視野で見れていたけど、たとえば電鉄系デパートを一軒一軒収益性を調べてチャート化し、それを元に発想を広げるということはさすがに一週間では無理?と思った…。よく日経ビジネスとかの特集をクラスメイトがスキャンして送ってくれるけど、そこに綺麗に纏まっていると議論しているけど、今回それはなかった。
しかしながら、公開情報をまとめて一つのチャートに表しそこから読み取れる情報と言うのはとても有益であると再認識した。コンサルはかなりの時間をこれに費やしていると言っている教授もいた(その人も超一流のコンサルタント)。
なかなか楽しいケーススタディーだった。

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